大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

千葉家庭裁判所一宮支部 昭和53年(家)396号 審判

主文

被相続人長田貫太郎の遺産を次のとおり分割する。

一、

1  別紙遺産目録1、6、7の不動産を申立人長田貫太郎、同山内恵子、同長田辰雄、同池田佐代子、同長田治郎、同長田政男、同長田義男、同長田博、同長田加津子の共有取得とする。

2  右申立人九人は、右一の1取得の代償として、連帯して申立人田代かよ及び相手方長田ゆりに対し、一括して金五〇万三五六〇円を支払え。

二、

1  同目録5の不動産を申立人鈴木カズ、同鈴木武志、同川本礼子、同鈴木俊彦、同鈴木千恵子の共有取得とする。

2  右申立人五人は、右二の1の取得の代償として、連帯して、申立人田代かよ及び相手方長田ゆりに対し一括して金二五万二四〇〇円を、申立人西山サチ手続承継人西山太郎、同倉田敏江、同西山みどり、同西山忠吉、同森田和子、同西山温子、同西山洋司、同西山利明、同片岡明子に対し一括して金二一〇万九〇〇〇円を支払え。

三、

1  同目録4の不動産を相手方長田実手続承継人長田たね、同杉山洋子、同田口光子、同長田伸治の共有取得とする。

2右手続承続人四人は、右三の1の取得の代償として、連帯して申立人田代かよ及び相手方長田ゆりに対し一括して金五五万〇六八〇円を支払え。

四、同目録2の不動産を申立人西山サチ手続承継人西山太郎、同倉田敏江、同西山みどり、同西山忠吉、同森田和子、同西山温子、同西山洋司、同西山利明、同片岡明子の共有取得とする。

五、同目録3の不動産を申立人田代かよ及び相手方長田ゆりの共有取得とする。

理由

一、申立人らは被相続人長田源兵衛の遺産について各相続分に応じた遺産分割の審判を求め、これに対する本件記録一切を総合検討した当裁判所の判断は次のとおりである。

二、相続人と法定相続分

1  亡長田源兵衛は昭和四五年八月二三日死亡し、源兵衛の遺産は、その妻である長田みねが三分の二の割合を以て、いずれも源兵衛の弟妹である相手方長田実、相手方長田ゆり、申立人田代かよ、申立人長田貫太郎が各一五分の一の割合を以て相続し、いずれも源兵衛の弟長田雄治(昭和四四年七月一一日死亡)の子である申立人山内恵子、同長田辰雄、同池田佐代子、同長田治郎、同長田政男、同長田義男、同長田博、同長田加津子が長田雄治の相続分一五分の一を平等の割合(各八分の一)で代襲相続した。右代襲相続をした各人の源兵衛の遺産に対する相続分は各一二〇分の一となる。

長田みねの相続割合

2/3

長田実、長田ゆり、田代かよ長田貫太郎の相続割合

1/3×1/5 = 1/15

長田雄治の代襲相続人8人の相続割合

1/15(雄治の相続分)×1/8 = 1/120

2  長田みねは昭和四七年八月二〇日死亡し、同人の相続分三分の二を同人の兄である鈴木一郎及び妹である申立人西山サチが平等の割合(各二分の一)で相続した。同人らの源兵衛の遺産に対する相続割合は各三分の一となる。

鈴木一郎及び西山サチの相続割合

2/3(みねの相続分)×1/2 = 1/3

3  鈴木一郎は昭和五〇年三月一日死亡し、同人の相続分三分の一を、同人の妻である申立人鈴木カズが三分の一の割合を以て、残り三分の二をいずれもその子である申立人鈴木武志、同川本礼子、同鈴木俊彦、同鈴木千恵子が平等の割合(各四分の一)を以て相続した。この結果、源兵衛の遺産に対する鈴木カズの相続分は九分の一、その余の各人の相続分は各一八分の一となる。

鈴木カズの相続割合

1/3(鈴木一郎の相続分)×1/3 = 1/9

その余の相続人4人の相続割合

1/3(鈴木一郎の相続分)×2/3×1/4 = 1/18

4  本審判手続中である昭和五三年四月二日申立人西山サチが死亡し、同人の相続分三分の一をその夫である手続承継人西山太郎が三分の一の割合を以て、残り三分の二をいずれもその子である手続承継人倉田敏江、同西山みどり、同西山忠吉、同森田和子、同西山温子、同西山洋司、同西山利明、同片岡明子が平等の割合(各八分の一)を以て相続した。この結果、源兵衛の遺産に対する西山太郎の相続分は九分の一、その余の各人の相続分は各三六分の一となる。

西山太郎の相続分

1/3(西山サチの相続分)×1/3 = 1/9

その余の相続人8人の各続分

1/3(西山サチの相続分)×2/3×1/8 = 1/36

5  本審判手続中である昭和五三年七月一九日相手方長田実が死亡し、同人の相続分一五分の一を同人の妻である手続承継人長田たねが三分の一の割合を以て、残り三分の二をいずれもその子である手続承継人杉山洋子、同田口光子、同長田伸治が平等の割合(各三分の一)を以て相続した。この結果、源兵衛の遺産に対する長田たねの相続分は四五分の一、その余の相続人三人の相続分は各一三五分の二となる。

長田たねの相続分

1/15(長田実の相続分)×1/3 = 1/45

その余の相続人3人の各相続人

1/15(長田実の相続分)×2/3×1/3 = 2/135

三、遺産の範囲と評価

亡源兵衛の遺産及び右遺産の分割時に近接した時点の場額は別紙目録記載のとおりであり、その総額は三八五三万九八〇〇円である(遺産の価額は鑑定人○○○○の鑑定意見を参考として決定した)。

四、分割についての相続人の意見

相続人らの間で、相続人らを長田貫太郎、山内恵子、長田辰雄、池田佐代子、長田治郎、長田政男、長田義男、長田博、長田加津子のグループ(これをAグループという)、鈴木カズ、鈴木武志、川本礼子、鈴木俊彦、鈴木千恵子のグループ(これをBグループという)、西山太郎、倉田敏江、西山みどり、西山忠吉、森田和子、西山温子、西山洋司、西山利明、片岡明子のグループ(これをCグループという)、田代かよ、長田ゆりのグループ(これをDグループという)、長田たね、杉山洋子、田口光子、長田伸治のグループ(これをEグループという)とし、各グループに属する者の相続分に応じて各グループが一体として遺産を取得し、これを各グループ内で自主的に分割することに意見が一致した。具体的な遺産の取得については、Aグループが特に宅地家屋の取得を希望したが、特に反対する者はなく、また、他の相続人において特定遺産の取得を希望する者はない。

五、分割方法

以上のとおりの各相続人の相続分、遺産とその価額、分割についての各相続人の意見等を総合考慮して、遺産を次のとおり分割する。

1  遺産目録1の田及び同6の宅地、同7の建物をAグループに属する相続人九人の共有取得とする。右遺産の価額は合計五六四万二二〇〇円であり、遺産総額から算出した同グループ九人の本来の相続分の金銭換算額は合計五一三万八六四〇円である。従つて右相続人らには相続分を超えて取得した五〇万三五六〇円を差額調整金として、相続分に満たない遺産を取得した他の相続人(具体的には、Dグループに属する相続人二名)に支払わせることとする。

2  遺産目録5の畑をBグループに属する相続人五人の共有取得とする。右遺産の価額は一五二〇万八〇〇〇円であり、遺産総額から算出した同グループ五人の本来の相続分の金銭換算額は合計一二八四万六六〇〇円である。従つて右相続人らには相続分を超えて取得した二三六万一四〇〇円を他のグループに属する相続人(具体的には、Cグループに属する相続人九人に対し二一〇万九〇〇〇円、Dグループに属する相続人二人に対し二五万二〇〇〇円)を支払わせることとする。

3  遺産目録4の畑をEグループに属する相続人四人の共有取得とする。右遺産の価額は三一二万円であり、遺産総額から算出した同グループ四人の本来の相続分の金銭換算額は合計二五六万九三二〇円である。従つて相続分を超えて取得した五五万〇六八〇円を差額調整金として相続分に満たない遺産を取得した他の相続人(具体的にはDグループに属する相続人二人)に支払わせることとする。

4  遺産目録2の畑をCグループに属する相続人九人の共有取得とする。右遺産の価額は一七〇三万七六〇〇円であり、遺産総額から算出した同グループ九人の本来の相続分の金銭換算額は合計一二八四万六六〇〇円である。従つてその不足額二一〇万九〇〇〇円を差額調整金として相続分を超えて取得した他のグループの相続人(具体的には、Bグループに属する相続人)から支払いを受けるものとする。

5  遺産目録3の畑をDグループに属する相続人二人の共有取得とする。右遺産の価額は三八二万二〇〇〇円であり、遺産総額から算出した同グループに属する相続人二人の本来の相続分の金銭換算額は合計五一三万八六四〇円である。従つてその不足額一三〇万六六四〇円を差額調整金として、相続分を超えて遺産を取得した他のグループの相続人(具体的には、Aグループの相続人から五〇万三五六〇円、Bグループの相続人から二五万二四〇〇円、Eグループの相続人から五五万〇六八〇円)から支払いを受けるものとする。

六、よつて、主文のとおり審判する。

別紙 遺産目録〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例